ひとつひとつ丁寧に、
要望に合わせた音色を出す太鼓を作りあげます。
太鼓の音を響かせるために胴は大切な部分です。
一番太鼓に適しているのは堅く木目が美しい国内産の本ケヤキですが、ほかにも栓、タモなど木目のある木が使われます。
生木を切り出し大まかな太鼓の形にしてから数年、慎重に時間をかけて乾燥させていきます。この間に、歪みが出たり割れたりすることもあります。
完全に乾燥したら、形や口を整え、内部を仕上げていきます。
きめが細かく粘りのある和牛の皮を使用します。
一頭の皮は、太鼓の種類により使う場所が異なります。職人が目利きをして使う部位を判断して切り分けます。
ホコリやキズは「銑ぶち」と「皮すき鉋(カンナ)」できれいに落とします。
大締太鼓・小太鼓・小鼓・大鼓・小締太鼓・うちわ太鼓などの革で、糸で縫って仕上げます。
近年は小太鼓や団扇太鼓などはミシン縫いで作られることも多いのですが、当店は革の厚みや強度を見分けながら手作業で縫っています。
ひと目ひと目しっかりと締め上げながら縫うので1、2ヶ所糸が切れてもほつれにくく丈夫です。
→縫物のこだわりページ
生皮を太鼓の大きさに裁断し、
型胴にかけて型を取り乾燥して保存できるようにすることを仮掛けといいます。
約一週間天日干しにすると飴色の良い色に仕上がり、丈夫にもなります。
天日干しした革は、その後数年室内で乾燥(枯らし)させます。新しい革は伸びやすく音色も悪いので、最低でも2~3年は枯らします。枯らす年数は長いほど革自体が丈夫になり、音色も良くなります。
枯らし終えた革を胴に張ります。
革の上に乗り、体で調子をとりながら足のかかとを使って何百回と踏み伸ばします。
革を伸ばし、引っ張るを繰り返して、希望の音色になるまで行います。
希望の音色を創り出すために最も大切な工程です。
音が決まったところで鋲を打ちます。
規則正しく一定のリズムで打っていきますが、
職人一人一人が自分のリズムをもっているので、
音を聞いただけで誰が作業をしているのかがわかります。